契約期間満了→雇い止め

Q 3か月間の労働契約で除染作業に従事していましたが,3回更新の後,「次は更新しない」と言われました。継続はできないのでしょうか?

 

A 期間満了により契約終了が原則です。しかし,

 

・継続を期待させる言動が使用者からあった

・更新回数が1-2回ではなく多い

・更新の際の査定などがなく,更新手続が形骸化している

・仕事内容が正社員と変わらない

・仕事内容が有期契約である必要がない(季節変動がないなど)

・他に雇い止めされた人がいない

 

といった事情が重なってくると,更新拒絶は簡単には認められなくなります。

 

【労働者側の対処】

今回は除染作業ということですが,その業務の変動量,正社員の作業との違い,更新回数と手続によっては,きちんと「更新」を請求し,「雇用は続いている」という訴訟を起こすのも十分ありえると思われます。逆に,毎回きちんと契約書の切替があり,正社員の仕事と歴然とした差がある場合は,検討を要します。

 就業場所や賃金の払い方によっては,相手の会社がいわき市内でなくとも,いわきの裁判所で提訴できる可能性があります。請求内容は,「雇用が続いているから所定の賃金を毎月払え」というものになります。

 

【使用者側の対処】

 正当に更新が拒絶できるように,下記の点に留意しましょう。

 

・きちんと査定して更新を行ない,契約書もその都度,作り直す

・更新しないことがありうることを周知する

・契約社員は補助的・季節的な業務にできるだけ従事させる

・更新回数が多くなると雇い止めできなくなるリスクが出てくることを織り込む

 

 

弁護士費用についてのコメント

解雇事案と同様ですので,労働者側で訴訟なら着手金30万円前後,報酬金獲得額の17.3%あたり,仮処分も同程度か着手金がちょっと下がるというレベルと思われます。

使用者側なら,勝訴の見込みがあれば着手金30万円前後+報酬金減額分の17.3%,敗訴必至なら着手金40-50万などにして報酬金なしというあたりが多いのではないでしょうか。