偏った遺言が残っている(遺留分減殺)

 Q 「財産は全て長女に相続させる」という遺言を残して父が亡くなりました。残った家族は,母,長女,私,妹です。私は全く遺産をもらえないのでしょうか?

 

A 遺留分という,最低限の取り分が法律で保障されています。この場合,相談者さんと妹さんは財産総額のそれぞれ12分の1を,母は4分の1を取得できます。もちろん,権利主張しないのも自由です。

 また,お父さんが認知症等に罹患していた場合は,遺言がそもそも無効である可能性があります。

 

遺留分とは?

遺族の生活保障のため,相続人は,遺産の「最低限の取り分」が保障されています。

 例えば夫が亡くなり,遺族は妻,子供3名という場合,妻は最低遺産の4分の1,子供は12分の1の取り分があります。これを遺留分といい,これを侵害されている限度で,遺言や生前贈与を一部無効にできます。取り分が0なら必ず遺留分侵害となります。多少なりとも遺産をもらっている場合は,それが遺産の総額の12分の1に達しているかどうか確認する必要があります。

 なお,遺言がなければ,(この例では)妻は2分の1,残りは子供らが頭割りでもともと取り分がありますので,(多大な生前贈与等がない限り)遺留分どうこうという問題は発生しません。

 

遺留分の注意点

遺留分の権利は,相続の開始及び「偏った遺言や生前贈与がある」と知ってから1年以内に行使しないと行使できなくなります。具体的には1年以内に内容証明郵便を相手に送ることになりますが,時間制限がかなり厳しい部類に入ります。検討されている場合は急いで相談にいらしてください。

 お父さんの最後の住所がいわきであれば,いわきの裁判所で提訴が可能です。

 

遺言無効

 以上は遺言が有効であることが前提の話です。ところが,遺言というものは,下記の場合は無効です。

 

 ①遺贈等を理解できないほどの認知症等

 ②自筆でかいた遺言で,

  • 全文自筆でない
  • 日付が書いていない
  • 署名や押印がない
  • 訂正印がない

 

 ①については,介護保険の認定記録やお医者さんのカルテで立証し,そのような遺言を残す動機があったかどうか,遺言内容の複雑性を勘案して無効かどうか決まります。②については遺言をみれば一目瞭然です。

 遺言が無効となれば,遺言がない場合と同じ相続分,上記の例で言えばお母さんが半分とり,残りを子供たちで頭割り,という原則に戻るので,原則,遺留分の話ではなくなり,その相続分で具体的にどう分けるかという遺産分割の問題になります。

 

弁護士費用についてのコメント

遺留分減殺請求の結果,遺産の不動産は共有となり,お金の贈与はその一部の返還を求める形になります。よって,遺産の不動産の一部の価額や返還を求める金額の8%+税が着手金,回収額の16%+税が報酬金の相場と思われます。