財産分与

Q 離婚したら,養育費と慰謝料以外に何かもらえますか?

  

A 基本は,夫婦の財産を足して2で割り,自分がその半分以上を保持しているなら相手に差額を払い,半分以下保持なら差額を相手からもらえます。これを財産分与といいます。夫の預金が500万,妻の預金100万円なら,夫が妻に200万円分与することになります。

 

【分与対象】

あくまで「夫婦の協力によって得た」財産を半分にするのが趣旨ですので,

 

◆親からの相続財産や贈与を受けたものは入りません。

◆子供名義預金も,親が積み立てたものなら財産分与対象です。

◆婚姻期間が短い場合は,(別居時の預金残高)ー(婚姻時の預金残高)が分与対象です。婚姻期間が長い場合は,そこらへんぐっちゃにされることも多いです。

◆住宅は,査定額ーローン額を財産として扱います。オーバーローンの場合,分与対象にならない場合が多いです。

◆保険は,別居当時の解約返戻金を基準にします。婚姻前から掛けている場合は,その分を差し引きます。

◆別居時に財産持ち出しがあった場合は,それは勘案されます。

 

【手続】

通常は離婚調停と共に分与請求します。相手の住所地の家裁に離婚調停申立書を提出しましょう。相手がいわき在住であれば,いわきの家裁で審理が可能です。

離婚済の場合は,離婚から2年以内に請求しなければなりません。気をつけましょう。

 

【ポイント】

①裁判になると,「これだけ財産があります」と正直に相手が開示するか微妙です。

別居前に相手の財産(預金口座証券口座の銀行名支店名残高)をメモしておきましょう。

②弁護士に相談する前に,適当な不動産業者に頼んで,自宅の査定書をゲットし,概ねの分与額,不動産の取得を希望するかどうかを決めましょう。

 

【弁護士費用についてのコメント】

離婚調停,離婚訴訟とともにご依頼いただくのが普通なので,「財産分与請求単独の弁護士費用の相場」はないと思います。離婚訴訟と共にご依頼される場合,着手金30万,報酬金は獲得額の16%+税または30万円あたりが多いと思われます。

財産分与は,ひとによっては1円も分与がなかったり,数千万円あったり,振れ幅が大きいので,係争額が大きければそれに応じて弁護士費用も40万,50万と増えていくと思われます。

 

【税務】

◆不動産を分与すると,分与した側は,「時価で譲渡した」とみなされるため,譲渡所得税がかかる可能性があります。特に土地が値上がっている場合は,「購入価格>時価」となる可能性が出てきます。

 その場合でも,居住用の不動産であれば3000万円の控除を受けられる可能性がありますので,きちんと確定申告しましょう。ただし,譲渡相手が配偶者ではダメなので,離婚後に分与する必要があります。また,分与者が長期間居住していない場合,「居住用」に該当しないことがあります。

◆現金や預金の分与,慰謝料は,もらった側もあげた側も非課税です。不動産も,分与された側(もらった側)は非課税が原則です(過大な分与の場合を除く)。