内定の取り消し

Q 「4月1日から働いてほしい」として,いわきのハローワークを通じて採用通知をもらったのですが,3月20日に,「やっぱり雇えない」との電話が相手からありました。別の就職先を探すしかないのでしょうか?

 

A いわきの中小企業による安易な内定取消は散見しますが,内定は安易に取り消せません。

 

・裏付けのない「悪い噂」がある

・性格が暗い

・作業に支障ない程度の小指の麻痺がある

・入社前研修を休んでしまった

 

といったレベルでの取消は認められないことがほとんどです。

「事後的に経営が悪化した」というのも,かなり厳しい悪化でないと取消理由になりません。

 

【使用者側の対処】

内定を出すこと自体に慎重になりましょう。応募者の一生を左右しうるのです。

応募者の適性に疑義が出てきたのであれば,「試用期間は労働させて,適性がなければ本採用拒否」という方が本筋です。

また,内定通知書に,内定取消事由をきちんと記載しておくのも紛争防止に有効です。

 

【労働者側の対処】

「内定が出た」ことの立証が核になります。

ハローワークへの採用通知,内定通知などを確保しましょう。

書証がなければ,相手に電話して,「どうして内定したのに取り消すのか」と内定があったことを前提に話をし,それを録音しましょう。

また,他社の面接を断ったとか,作業服を買ったとか,内定を前提にした準備行為があれば,その証拠(面接辞退の手紙のコピー,領収書など)も確保しましょう。

 

 裁判をすれば,職場復帰と所定の給与の支払,または

 

・慰謝料50万~100万前後

・再就職に最低限必要な期間の賃金額相当分の賠償の支払

 

が認められる可能性があります。依頼者の方がいわき居住であれば,相手の会社がいわき外でも,いわきの裁判所で裁判をすることが可能です。

 

【ポイント】

採用通知など「内定した」という証拠確保!!

 

弁護士費用についてのコメント

一般的な相場というほどの相場は見当たりませんが,着手金20万円前後,報酬金回収した金額の16%あたりが多いのではと思われます。