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痴漢しても解雇不能

東京メトロの駅員が痴漢して、メトロが解雇したら、無効になりました。

報道によれば、「行為の悪質性や処分歴を勘案しないのは不合理」とのこと。

つまり、おそらく

「処分歴がなく、衣服の下に手を入れていない」

ということなのでしょうね。

14歳の被害者には申し訳ないのですが。
刑事事件としての処分は罰金20万円なので。
犯罪としては軽い部類に入る。
そういわざるをえません。

全くの初犯で、服の上から軽く触れただけであれば。
別に勤務中にやったわけではないので。
雇用されている会社との関係では、「解雇できない」っていう結論も十分ありうるでしょう。


しかし。
加害者が、東京メトロの駅員ですよ・・・・
Σ( ̄ロ ̄lll)

これで解雇できないって。
使用者側としては辛いだろうな。
そう思います。
2回、3回と痴漢しないと、解雇できないってことかい。


解雇の裁判では。
解雇無効となれば、解雇日以降の給与の支払いが命じられます。
今回は、「昨年4月の解雇」とありますので。
約20か月分の給与=720万円(36万×20)と、年6分の利息の支払い。
それが認容されているはずです。
つまり、会社側からすると、

「駅員が痴漢とは言語道断!解雇じゃ!」
(`Д´)

としたら、逆に720万円払う(+職場復帰)はめになった、ということ。


ここでのポイントは


「駅員が痴漢して解雇できないとは何事じゃ」


というより。
「結論が予測不可能なうえ、解雇して会社が負けたら満額の賃金支払」


という点にあります。つまり、会社側は敗訴のリスクが大きすぎる。
もちろん、加害者側も、おそらく終身雇用を見込んでいたであろう会社を解雇されたわけですから、それなりの賠償は必要とは思いますが・・・・。


これらの問題の根源は。


「転職が容易でない」
という日本の社会構造にあると思います。
だから、裁判官は、容易に解雇を認めることができない。
いえ、容易どころか、「原則として認めない」というレベル。
労働者側も雇用の継続を無理してでも望みます。
たとえ、同僚に「こいつ、痴漢で解雇されヤツだ」と思われていたとしても。
たとえ、勤め始めた会社がブラック企業でも。

「ふん、この程度で解雇するような会社なら、こっちから辞めてやる!」
「ふん、こんなサービス残業させられるような会社なら、こっちから辞めてやる!」

ということにはなりません。会社にしがみつきます。生活がかかってますから。
容易に解雇できないとすれば、企業は、自衛手段として、雇い止めしやすい契約社員や派遣社員を増やします。「会社でひたすら新聞を読んでいる窓際族のおっさん」も解雇できないまま放置せざるをえません。
会社の経営効率は下がり、利益は圧迫される。
よって賃金は上がらず、派遣社員が増える。
社員は、ブラック企業でも耐えて勤め続ける・・・・


これが日本で起きている負のスパイラルです。


「ふん、こんなサービス残業させられるような会社なら、こっちから辞めてやる!」

って気軽に言えて、ブラック企業が自然淘汰されるような世の中になるといいですが。

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いわき:みぎは法律事務所 弁護士 戸川 瑛

 

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